「文豪シリーズ」谷崎氏誕生日記念イラスト&キャラクタートーク
本日二度目の更新、スタッフMです。
本日7月24日は、谷崎潤一郎氏の126回目のお誕生日です!
吉本ルイス先生から記念イラストを描いて頂きました!
美食家の谷崎さんが、ケーキを頬張っています…!
さらに、書き下ろし特別キャラクタートークをお届けします!
谷崎「本日、7月24日は俺の誕生日だ。大いに祝うがいい!!」
泉「(拍手しつつ)はい、おめでとう。でも谷崎くん、すっかり変態の印象が定着してしまっているせいか、君の誕生日と言われてもいまいち有り難みが感じられないよ。いい機会だから、改めて自己紹介をしてくれないかな」
谷崎「有難みがないって……。泉、お前…ひどすぎやしないか。
長い付き合いなんだから、今更自己紹介も何もないだろう」
泉「まぁまぁ。現世で生活している若い女学生たちに君の素晴らしさを知ってもらえるいい機会じゃない。ほら早く」
谷崎「(考え込んで)ふむ。それもそうだな。よし、俺の輝かしい歴史を説明してやろうではないか!
俺の名は谷崎潤一郎、東京の生まれの芸術家だ。幼い頃は、あまりの頭脳の優秀さに『神童』とも呼ばれていた俺だが、当時は顔立ちも、絵のモデルになったこともある母親に似て、目が大きく愛らしかったのだ。そのために、軍人にかどわかされそうになったこともあるが……」
泉「えぇっ!無事だったの、それ……」
谷崎「たまたま巡査が通りかかってな。まあ、当時は少年趣味なぞ珍しくもないことだ。俺も、青春時代には美しい少年にも憧れたものだが、今となっては男相手など考えられん!!虫酸が走る!!」
泉「……一部、聞かなかったことにするよ」
谷崎「でだ、俺は持ち前の優秀さで、中学校では二学年飛び級してそこでも首席になった。実家が事業に失敗して苦学しながらも名門・第一高等学校に進学し、帝国大学国文学科へと進んだが、いよいよ生活が苦しくなってな。結局、授業料の滞納で退学をせざるを得なかった……」
泉「谷崎くん、ご長男だものねぇ」
谷崎「しかし、俺の文学にかける情熱はこれしきの障害で挫かれるようなヤワなものではない!帝大在学中から雑誌『新思潮』の第2次創刊に参加し、誌上で小説『刺青』を発表して鮮烈な文壇デビューを飾ったのだ!」
泉「『新思潮』は、すぐに発禁処分になっちゃったんだっけ。谷崎くん、その後の執筆活動でも何度も発禁処分を受けているよねぇ……」
谷崎「『新思潮』発禁は俺のせいではない!
それにしても、文壇に出られるようになるまでなかなか思う通りにならず、俺もこの頃は苦労したものだ……電車に乗ることができなくなってしまったのも、この頃だな……長距離電車など、息がつまって死ぬかと思った……」
泉「谷崎くん、鉄道どころか床屋でも座っていられなくて途中で叫びだしたりしていたんでしょう。案外、気の小さいところがあるよねぇ(笑)」
谷崎「くっ…笑うな泉!芸術家の神経は繊細なのだ!
まあ、やっと文壇に出て執筆活動も軌道に乗り、最初の結婚もしてと、色々と慌ただしい頃だったな」
泉「そういえば、谷崎くんは細君の千代さんをご友人の佐藤春夫さんに譲渡したっていうじゃない。ずいぶん、ひどいことをするなぁ」
谷崎「お互い、合わない相手と無理に暮らす方が不幸せだろう。芸術を愛している俺にとって、そもそも家庭を築くことが不適当だったのだ」
泉「私と妻にはその感覚はわからないなあ。まあ何にせよ、その後は気の合う女性にも出会えたんでしょう」
谷崎「最後の妻・松子は美しい女だった……。下僕にして下さい、ご主人様と呼ばせて下さいと手紙を書き送ったものだなぁ……松子には膳で食事をさせ、俺は蓋で食事をするという下男プレイにもハマったものだった……いいか泉、恋愛とは一つの芝居のようなものなのだよ、役割に徹して愉しまなければ!」
泉「せっかく自己紹介をしてもらって悪いんだけれど、谷﨑くんが天才なんだか変態なんだか、余計にわからなくなってしまったんだけれど……」
谷崎「天才に決まっているだろう!ノーベル文学賞の最終候補にも残った男だぞ!!!他にも文化勲章受章、日本人初の米国文学アカデミー名誉会員にもなった俺のことを、世間は尊敬と羨望を込めて“大谷崎”とも……」
泉「(話を遮って)う~ん……なんとかと天才は紙一重っていうからねぇ。
まあどうでもいいか、とりあえずお祝いしましょう!!暑くて食べ物が傷みやすい季節だし、よ~~~く煮えた鍋でもどうかな?美味しい鶏鍋を出すお店を知っているんだ~」
谷崎「おい、どうでもいいとは何だ!……しかし鶏か、悪くないな。腹も減ってきたことだし、案内してもらおうではないか!」
泉「じゃあ行きましょうか。あ、私の鍋陣地に入ってきたら……(笑顔で凄んで)どうなるかはもちろん、わかっているよね?」
谷崎「……お前、俺の誕生日、祝う気あるのか……?」
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お誕生日というころで、谷崎さんに改めて自己紹介をして頂きました!
書ききれないほどの文学史的偉業を残す偉大な小説家ですが、面白いエピソードにも事欠かない谷崎さんです。
お誕生日、おめでとうございます~!