川端康成氏お誕生日記念イラスト&キャラトーク公開!
こんにちは、スタッフMです。
遅くなってしまいましたが、6月14日は、川端康成氏の114回目のお誕生日でした!
吉本ルイス先生に記念イラストとしてダンディな洋装川端氏を描いて頂きました☆
吉本先生、ありがとうございます!!
それでは記念キャラトークをどうぞ☆
―――――――太宰が自宅で読書をしていると、川端が訪問してきて……?
太宰「…………」
川端「…………」
太宰「…………!」
川端「…………」
太宰「~~~~! ……ってああもう! 何なんですか一体!!」
川端「? 急にどうしたんですが太宰くん、そんな大きな声を出したりして。びっくりしてしまいましたよ」
太宰「どうしたじゃないでしょう……! あんた、突然僕の家にきたかと思ったら、無言のまま上がり込んで、ずっっっと黙ってこっちを見てるんだから怖いんですよ!」
川端「ああ僕、よく眼が怖いと言われるんですよね。生前なんか、夜中に目が覚めてふと見たら泥棒が上がり込んでいて。それでも暗闇の中でじっと見つめてやったら、慄いて逃げて行ってしまったことがありますよ」
太宰「そんな話はどうでもいんです……! まったく、そうやってさり気なく話を本題に持って行くつもりなんでしょうがね。お金なら貸しませんよ……」
川端「どうしてそんな、突飛なことを言うんです」
太宰「だってあんた生前は、編集者の菊池寛さんのところへいきなりやってきて『200円要るんです』とだけ言って金を借りて行ったとか、自分は寄稿したことすらない出版社の緊急用金庫の金を、ふらっと現れて全額借りてったとか、〆切前で時間のない後輩を『近くまで行ったのですが、お金がなくなってしまったので帰りの電車賃下さい』と呼びつけて弁当代までせびったとか……もうとにかく借金の噂が絶えないじゃないですか……! 自分が“借金の天才”なんて呼ばれてること、知らないんですか……!」
川端「やだなぁ、それは確かに全て事実ですけど」
太宰「だから僕にも金を借りようとしてるんじゃないんですか?」
川端「だからね、菊池さんしかり出版社しかり、僕は“金はあるやつが払えばいい”というのが信条なんです。まさか、太宰くんに借金をしようとなんてするわけないじゃないですか。借りるなら、もっとお金のあるところに行きます」
太宰「失礼だなあんた!!!」
川端「まあ確かに、この後、別のとこへ金を借りに行こうとしているのは間違っていません。壺を買ったもので、お金が必要なんです」
太宰「……参考までに、いくらすんです?」
川端「今の貨幣価値でいうと、一億円くらいでしょうか」
太宰「いちおっ……!?」
川端「滅多に売りに出されない国宝級の代物でしたから、これは手に入れなければと」
太宰「……川端さん、あんた、どんな金がないときでもそうやって高額な骨董品を買いまくっているそうですね。ノーベル文学賞の賞金も、もらう前からその四倍もの金額の骨董品を買ったとか、逸話が残ってますよ」
川端「金額なんて問題じゃありません、欲しいものは欲しいから手に入れるんです。私が古本屋の店主から夏目漱石さんの軸を譲り受けることができたのも、私と店主の長年の信頼があったからこそ。欲しいものとの間には、それだけの縁ができるのですよ」
太宰「ちょっと待て、その古本屋の店主、『大事な軸をあんたに見せてしまったら持って帰るって聞かなくて押し問答になった末、結局根負けして持って帰られてしまった』って泣いてたぞ!」
川端「ところで太宰くん」
太宰「話を逸らしやがった……」
川端「君のお宅は殺風景ですね。犬猫でも飼えば、明るくなるんじゃないですか?」
太宰「……そういえばあんた、犬が好きなんでしたっけね」
川端「そうですね、大きな犬を二匹飼っていますよ。犬はいいです、番犬にもなりますし」
太宰「僕は、芥川先生をいつでも迎え入れられるようにするため、犬は決して飼いません。偶然芥川先生とお会いしたとき犬の毛がついていては困るから、道端での接触も避けるようにしています」
川端「太宰くんは本当に、芥川さんを尊敬しているんですねぇ」
太宰「そうですとも! ……だから、だからどうしても芥川賞が欲しかったのに……あんたら選考員のせいで……! 何が“作者目下の生活に厭いやな雲ありて”だ! 小鳥や犬を飼って、舞踏を見るのがそんなに立派な生活なのか!? それがあんたらの言う“文学”とやらか!!」
川端「まあまあ、落ち着いてください太宰くん」
太宰「川端さん、僕はあんたに手紙まで出した。そこにも書いたでしょう、『刺す。そう思った』と。忘れたとは言わせませんよ……」
川端「忘れてはないですが、もう内容を確かめようがないので」
太宰「あんた、生前は手紙はとっとく性質だったんでしょう。僕の手紙だって……」
川端「そうだったんですが、太宰くんから頂いた手紙だけは、燃やして処分していたもので」
太宰「燃やして処分!? 何で僕のだけ!?」
川端「『刺す』とまで言われたら、気味が悪いじゃないですか。……まあ、太宰くんのものに限らず、手紙というのは、後から読み返すと恐ろしいものも稀にありますね。私が中学生の頃、寮で同室だった恋人に宛てた作文なんて、後から読んで、その過激さに自分でも驚いてしまいましたよ」
太宰「……寮で同室ってことはそれ、男相手ですよね?」
川端「それが何か不都合でも?」
太宰「……(溜息)……ほんとにあんた今日、一体何しに来たんだ……? 僕を馬鹿にしに来たのか……?」
川端「おっといけない、本題を忘れるところでした。実は太宰くんに折り入って、お願いがありまして」
太宰「!? あんたが僕に?」
川端「はい。実は先日、僕の誕生日があったものでね。宴会をしてもらったんですが、ツケにしていた飲み代を払いに行こうと思ったら、どの店だったかわからなくなってしまいまして。太宰くん、そういうお店には詳しいでしょう。一緒に通りの店を一軒一軒、回っていただけませんか?」
太宰「雑用じゃないか! それとあんた、生前も同じ失敗してたろ! いい加減学べよ!」
川端「あと、その飲み代が足りないのでお金を貸して下さい」
太宰「だから……!!! 結局借金かあああああ!!」
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独自の金銭感覚とマイペースさで、意外にもぶっとんだエピソードが多い川端氏。
恋人に宛てたラブレターは、なんと作文として先生に提出したもの!ちょっとドキッとする内容は、必読です!
川端康成氏、お誕生日おめでとうございます~!!!