──本日の収録の感想についてお願いします。
白河内純弥役・小野大輔さん(以下、小野):あっという間に時間が経ってました。とにかくアフレコは楽しかったという一言につきます。いろんな距離感や声の指向性やボリュームであったり、シチュエーションを表現するためにいろんな要素があるんですが、ダミーヘッドマイクってその方法が通常のマイクよりも非常に多いツールなんです。それを役者の方だけで表現を付けなきゃいけないんですけども、今回は演出面ですでに前もって立ち位置を番号で振っていただいたんです。マイク番号の立ち位置がまるでマイクを囲む曼荼羅(マンダラ)のような模様で(笑)。立ち位置を明確に指示していただいてて、あとのお芝居の部分で何番から何番に移動して、どっちを向いているとか、そういうところは役者の感性にまかせていただけました。非常に自由度がありつつ、立ち位置に関してはしっかり決めていただけてて、一緒に作っているなあという感覚があった実りのある収録でした。
――この息遣いシリーズの聴きどころと苦労した点をお願いします。
小野:実はダミーヘッドを使用してはいるんですが主人公に対して話かけていくストーリーではないです。視聴者の方は本当に息の荒い男たちの日常に紛れ込んだ妖精さんみたいなポジションで楽しめるという、新しい試みがされているんです(笑)。そんな面白さがこのCDの随所に散りばめられているので、そこを楽しんでいただければなと。お聴き逃しがないようにお願いします。
――最近ダミーヘッドマイクを使ったCDが多く出ていますが、収録あたって苦労する点などはありますか?
小野:声だけでの演技ではなくなるんですよ。動きや仕草といったものが、移動の仕方とかスピードであったり、マイクとの距離や、だれがどこにいるという立ち位置っていうのも、普通のマイクの時は声だけで表現するんですが、ダミーヘッドマイクの場合は声で乗せている空間表現というものをある程度体でしなければいけないんです。だからと言って声にそれを入れなくてもいいわけではなくて、声の方に距離感や空間認識を入れながら自分の体も空間にフィットさせなきゃいけないっていうのが非常に難しくもありやりがいもあることですね。
――では今回演じられたキャラクターについてお願いします。
小野:白河内純弥という役なんですけども、広告代理店の中間管理職的な人です。でもエリートなんですよ。歳も32歳ということで僕と歳も近くて、だんだんと部下ができてきて責任も感じ始めて、仕事にやりがいを感じてきているお年ごろの男性ですね。
――今回のCDには息遣いの色っぽさをフィーチャーしていますが、小野さん自身が感じる色っぽさってありますか?
小野:何かを飲んだ後の「ぷはっ」っていう息の漏れ方って色っぽく感じますね。
――本当ですか!? よくオヤジ臭いって言われるところですが(笑)。
小野:そうですね(笑)。でも、お酒のんだときの吐息っていろんな意味合いがあると思うので色っぽいと感じますね。特に女性がそういう吐息を出したときは「おっ!」と思いますね。
――最後にみなさんにコメントをお願いします。
小野:息遣いシリーズということでこれからいろんな息遣いが聴けると思います。息遣いをしてるシチュエーションだったり、どんな空間に誰に向かってその息をしてるのか、その息遣いから空間が見えるCDになっています。CDを企画された方の意図とは外れてしまうかもしれませんが、ドラマCDの面白さっていうのはこういうところにあるよというのが垣間見えるものになっているので、僕も演じていて本当に面白かったです。みなさんもドラマCDっておもしろいなってこのCDをきっかけに改めて思っていただければなと思います。