――まずは、収録を終えての感想をお願いいたします。
立花慎之介さん(一条優役/以下、立花):最近ダミーヘッドマイクを使ったドラマCDが増えてきましたが、その多くはダミーヘッドマイクを主人公なり告白する対象の女性に見立てて、その女性を中心にして収録します。でも今回はその対象の人物がいなくて、僕と梶くんと他の人たちという立ち位置なんですよ。つまりダミーヘッドマイク自体に話しかけない、マイクを女性に見立てて芝居をしないわけでして。
じつは僕、ダミーヘッドマイクを「対象にしない」というドラマをはじめてやったので、最初はどこを向いて芝居をすればいいのか違和感がありました。慣れてくればそこまで気にしなくてもできるものだなと思いましたけど(苦笑)。不思議な体験をさせてもらった収録でしたね。
――ダミーヘッドマイクを主人公に見立てる方がやりやすいですか?
立花:やりやすいというより、やっぱり視覚的なものがありますよ。ダミーヘッドマイクを主人公に見立てるなら、目で見たときにダミーヘッドマイクの方を見て、それに向かって演技をすれば芝居が成立しますけど、今回はダミーヘッドマイクの方を見ても、それは僕が話しかけている対象である梶くんではないですし。だから最初は、ダミーヘッドマイクを目で追わずに芝居をする、ということに慣れるまでは難しかったです。
――そもそも、『息遣いシリーズ』という企画についてどう思われましたか?
立花:また新しいシリーズが出来たなと思いました(笑)。ダミーヘッドマイクは音を拾いやすいので、息遣いがよく聴こえるという意味でもともと使われているんですけど、「うちの息遣いは違うぞ」と、当たり前の息遣いを立てるというのが新しいなと思いました。いい感じでダミヘが活かされていると思います。
――今回演じた“一条優”というキャラクターについての印象をお聴かせください。
立花:喜怒哀楽を持っているけど、「喜」以外はあまり表に出さない子です。アイドルの鑑なのかなと思います。アイドルの鑑になるということは、逆にその人の人間性を捨てなくてはならないので、そのギャップが物語の中盤以降でどういう風に影響してくるのか注目です。また、アイドルならではの苦労というか、何でもできる人の悩み、みたいなものが垣間見える作品かなとも思います。
――ドラマCDのなかではさまざまな息遣いがありましたが、どの息遣いを表現するのが難しかったですか?
立花:おでんを食べるところです。何を食べているのか、その違いを息遣いだけで表現するのは無理です(苦笑)。だって、聴き手には何を食べているかを言葉では一切伝えないので、息遣いだけでおでんの何の具を食べているかを伝えなくてはならないんですよ。その違いをうまく表現できているかわかりませんが、いい勉強になりました。落語家さんはうどんとそばを食べるときの音の違いを表現されているので、落語家さんにアイデアをいただきたくなりました(笑)。
――本作には“息遣いの色っぽさ”をCDで聴かせるというテーマがあるそうなのですが、立花さんが感じる色っぽさとは何ですか?
立花:それは女性に対して、ですよね?
――女性に色っぽさを感じないのであれば、男性でも構いません(笑)。
立花:(笑)。男性なら、鳥海さんからは色気を感じます。あの人の持つフェロモンなのかもしれませんけど、何と言いますか……雰囲気なんですかね。女性に対しても、ちゃんとは考えたことはないんですけど、色気のある女性とそうじゃない女性は、良い悪いは別としてわかります。具体的に何に対して色っぽさを感じるのかというのは、言葉では表せないんですけどやっぱり雰囲気だと思います。言動や着ている服など、色っぽさを感じられる要素がどこかしらひとつでもあればそこから、色っぽさがにじみでているのかなと。全部が全部、色気につながってなくてもいいですけど(笑)。
――最近、色気を感じる女性に出会いましたか?
立花:残念ながら出会ってません (笑)。道すがら、そんな女性に出会えればいいな~くらいに思ってます。
――ありがとうございました。最後に発売を待つファンへメッセージをお願いします。
立花:今回、2か月連続で『息遣いシリーズ』のCDが発売されます。まずは10月発売の「お屋敷編」を楽しんでいただきつつ、それとは違った息遣いをしているこの「アイドル編」を聴いていただければ、いろいろなドラマや息遣いを楽しめると思います。ぜひ2枚とも聴いていただけたらうれしいです。