「息遣いシリーズ」お屋敷編~執事と義弟の取り合い吐息~ キャストコメント≪前編≫
――収録を終えての感想をお聴かせください。
保志総一朗さん(結城奏汰役/以下、保志):ダミーヘッドマイクでの収録は久しぶりだったのですが、石田さんとの掛け合いがあったり、個別のシーンでは細かい動きの指定があって、大変そうだなと思っていました。でも、実際にやってみると思ったよりもスムーズで、石田さんとの会話もなかなか楽しい感じでできたのでよかったです。非常におもしろかったです。
石田彰さん(芹澤榊役/以下、石田):今回のウリは、何をおいてもダミーヘッドマイクで収録されているところだと思いますので、ヘッドホンで聴いたら臨場感のある音声になっているはずだと思いながら収録に臨みました。演じている僕には今、話したことがどの程度、臨場感ある聴こえ方をしているのかまったくわかりませんし、その実感がないんですよね。だから実際にヘッドホンをして収録を聴いてくださっているスタッフさんを信頼しつつ、収録しました。
――今回、演じられたキャラクターについてと、演じる際に心がけたことを教えてください。
保志:主人公の義理の弟でヤンデレ気味の男の子です。16歳という設定だったので、最初は少年らしい声をがんばって出そうと思ったのですが、石田さんが演じる榊があまりにもナチュラルだったので、僕の方も変に作りこまない方がいいのかなと思いまして。あまり16歳の少年、ということを意識せず自然に演じました。
石田:このキャラクターなら僕たちに合うだろう、というところでキャスティングされているんだろうから、大丈夫だよ。というか、そう思わないとやってられないよ(笑)。だって、16歳の少年とか20代の執事なんて、僕たちの年齢を考えたら完璧には出来ないもん。
保志:冷静になって考えるとそうなんですけど一応、声だけですからね(笑)。16歳の少年の声として違和感なく聴こえるように演じました。また、「息遣いを感じる」という特殊なCDなので、聴いている人が位置関係を含めて立体的に感じてもらえるようにやりました。
石田:先ほど保志くんが僕の演技をナチュラルだったと言ってくれて、それはとてもうれしいことなのですが、じつは、僕の中ではとにかく若く作ろうと思ってやっていました(笑)。もうちょっと年齢が高い人を想像していたので、20代と言われて、「これはもっと若さを意識しないといけないな…」と意識して演じてたんですよ。でも、それがナチュラルに聴こえたのであれば、僕もまだまだがんばれるなとホッと胸をなでおろしています。
保志:石田さんが本気出したら16歳なんて完璧にできますよ。
石田:いやいや。もう無理だよ(苦笑)。
――『息遣いシリーズ』という企画について、お話をいただいたときはどう思われましたか?
保志:そんな企画もあるんだと思いました。きっと昔なら「何それ?」と思っていたかもしれませんが、いろいろな企画がある時代ですから、不思議とすんなり受け入れられました。ただ、この企画のように息遣いをピックアップしている作品は珍しいですし、おもしろいなと思いました。普段演じているときはセリフに息遣いを出すということをしないので、普段できないような芝居をさせてもらえた気がします。とても楽しかったですね。
石田:世の中にはいろいろな癖を持った人がいると思いますが、「息遣いがうれしい」という人もいるんでしょうし、そこによく気がついたなと。また、息遣いをフィーチャーするチャンネルとして、映像ではなく音声ドラマという音で聴かせる形式にしたこともぴったりだなと思いました。
息遣いはことさら音にならないからこそ息遣いなんですが、映像であればおそらくビジュアルの方の芝居に任せて、聴こえなくてもいいくらいの息遣いしかしないわけですよ、きっと。でも音声ドラマである以上、音としてはっきりと聴こえなくてはならないので、僕たちもきちんと息遣いを感じていただけるようにやりました。非日常的なシチュエーションですが、人の営みとしてよくある場面にあてはめることで、ある意味、夢の世界をお楽しみいただけるのかなと思います。